10:お前には美しい死因が要る
白い髪も赤い瞳も、美しいけれど脆くて儚い。 純粋な精神を愚かだと指差せても、誰にも壊せない。 貴方はこの学び舎では生きていけない。生きては、いけない。 嫉妬か、憐みか、嘲笑か、同情か、憧憬か。 なにもしらない子、綿雨游枝。そしてこれからもなにもわからない子。 理解の出来ない衝撃が感覚を崩壊させる。 ナイフの切っ先が頚動脈を裂いて地面に赤が広がっていく。 男たちが去った後、もう世界にピントの合わない目が、細い影を写した。 数は定かではない。良い香りが鼻腔をくすぐる。 霞む意識の中で少女たちの笑う声が聞こえる。 ……この学校に、少女なんていただろうか? 文章・伊式十三丸 存在を打ち消すなら殺してしまおうホトトギス。 死因は七不思議。 A