サイバージュブナイル スクールホリック - CJSHの世界

オープニング

電子蜘蛛の巣上の仮想空間「戦学園(そよぎがくえん)」。
それは都市伝説であり、社会問題であり、潜在意識である。
ネット上ではクライアントエラーが頻発する辿り着けないサーバー。
現実世界では意識不明の学生が最後に見たらしい謎の情報サイト。
昏睡した脳では日常と非現実の混じり合った教育施設。

神経回路が異世界と繋がってしまったらしい。
君を含めた生徒たちはこの世界の、招かれたイレギュラーだ。
暴かれた本性に応えるように、異能力を与えられている。
君は、笑っても良いし、泣いても良いし、怒っても良い。
だけど出来るだけ早く脱出を試みたほうが良い。
君が本当に学園生活を終えてしまう前に。

世界観

■『学園から脱出せよ』
君たちは一介の噂を信じる変わり者、として認識されている。

ここ、戦学園は普通の高校だ。朝は寝過ぎると遅刻するし、放課後にはチャイムがなる。
しかし自分を含めた生徒たちは、ほとんど全員が、異能力を持って居た。
機械音声が導く通りに思考を巡らせていると、いつの間にかそうなっていたのだ。
そうして強い力を持っている以上、普通の学園生活を送れる者は少ない。

まるでアニメやマンガの登場人物のようだ。
この空間でようやく実現した憧れに胸が高鳴る。
しかし例の噂が君たちの心に影を落とした。
「この学園は崩壊してしまう!!」

この学園にずっと居続けるのは、危険ではないのか?
そう考えた君たちが、気を付けるべきはただ一つ。
スクールホリックに陥らないうちに学園を退学することだ。

■『現実世界』
2XXX年、日本。この島国ではある事象が全国規模の災害として問題になっている。
10代の子供達が突然意識を失い、そのまま昏睡してしまう事件。
警察やマスコミはあらゆる建前を述べて連続性を否定しているが、
ネットユーザーの間では既に事実が広まっていた。
切っ掛けはある情報サイト。独立したサーバーの、教育施設の紹介。
「戦学園」と呼ばれるそのサイトは、数年前噂として広まっていたものの誰も見たことが無く、
それらしきページは全てクライアントエラーが発生し、実際には存在しないものだと言われていた。
しかし被害者の子供達は「戦学園」を見た、らしい。
現場のパソコンで「戦学園」を調べた形跡がいくつも見つかった、らしい。
何故子供達の間に今「戦学園」が広まったのかはわからないが、
ネットユーザーは挙って「戦学園」を調査し始めた。

■『スクールホリック』
生徒たちは感じている。これが本当の自分である、と。
生徒たちは解っている。これは隠していた願望である、と。
抑圧されていたものが開放される快感は未成熟の脳を支配していく。
このことから少しでも長くここにいたいと思う生徒が大半である。
戦学園を認識する際、誰かから教えてもらった諸注意が頭から離れなくても。
ここより楽しい世界はないと、信じている。
この生徒たちが患うモラトリアムこそ、「スクールホリック」と呼ばれるものである。

■『世界の真実』
一説によれば、子供たちの脳にだけ影響を及ぼす周波数があると言う。
その周波数を使うとどのようなことが起きるのかまでは解明されていない。
異世界にリンクする鍵のようなものであると説明する論文も存在していたと言うが、その真偽は不明だ。
しかし、子供たちが「戦学園」に接触した際、
この周波数が使われた形跡があると言う。

「戦学園」を構築するあらゆるデータは電子蜘蛛の巣上にあるが、
サーバーとしては独立しており、並のハッカーでは到底侵入出来ない。
出来たとしても、一部のデータは定期的なリセットと更新が行われるため、
短期間で弾かれてしまい有力な情報は得られないと言う。

サーバーを管理する人間や施設がどこにあるかは知られていない。
知られていたら、こんな事態にはなっていないのだ。
あらゆる憶測が学園内に飛び交っているが、どれも眉唾物で信憑性には欠ける。
君たちが信じている学園の崩壊だって、本当は出所がどこかわからないのだ。

そう、これは知らなくても良い現実。
サーバーを構築する電子回路には、少女の脳が繋がっている。
……それを確認できる者は誰もいない。

竜三千万日会。未来の全知全能。箱庭で遊ぶ少女。
彼女は言った、「学校に行きたかった」と。